2007/12/02 [03:29] (Sun)
意識が戻った時にはもう夜が更けていた。
灰の男は暗闇の中を手探りで置いてあった荷物を探し、
見つけると手に取り中を漁る。
中から小刀とマッチを取り出すと、今度は辺りの落ち葉をかき集める。
そして小刀で指先を浅く傷つけ、流れる灰を葉に落とす。
ある程度灰を流したところで止灰をし、マッチをすって葉に火を灯す。
火はゆっくりと明るさを増し、男の体を照らす。
男は全身をくまなく探り、やがて異常がないことを確認すると
たたんでおいた衣服に手を伸ばし、身に着ける。
身なりを整えたところで、ようやく息をつきその場に腰を下ろす。
「どうやら無事に終わったようだな。」
何事もなく再構成を終えたことに安心し、
荷物から食料を取り出そうとしたところで一瞬固まる。
「…たしかに残しておいたはずなんだが。」
もう一度中身をしっかり探してみたものの食材らしき物は見当たらない。
「次は場所を選ばねばならないな…」
溜め息混じりに呟くと、荷物をまとめ灯っていた火を消し街へと歩きだした。
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